とゆふものは。

何者でもない、だから需要もない、アラフォー女の想いを綴ります。

あだち充『みゆき』を読んだ

今さら言うまでもなく、大御所すぎて畏れ多いけど、あだち充のマンガにハズレが少なくてびっくりしてる。

過去に読んだことがあるのは、

  • 『タッチ』(誰もが知る有名作品。昔から大好きです。小学生のときにアニメ再放送から入って高校生のときにワイド版を買い揃えた。原作派)
  • 『H2』(連載当時途中で挫折したものの最近完読。アニメは絵が苦手で完全に原作派)

の2作品であだち充といえば野球ラブコメと思い込んでいたんだけど、最近読み終えた『ショートプログラム』『虹色とうがらし』『いつも美空』などなど、全く野球が出てこないんだけど、いやーほんとに面白かった。
あだち先生ってスポーツ出てこなくてもぶっ飛んだ設定でもこんな完成度高いマンガを生み出していたのね!と。もちろん私が知らないだけなんですけどね。
最高傑作と名高い『ラフ』これから読むので楽しみ。

で、『みゆき』の話。
絵も時代を感じるし、生まれる前に連載開始した作品だし大丈夫かな?と思っていたんだけどなんだかんだ夢中で読んでしまった。
ざっくり言うと主人公・若松真人が血の繋がらない妹・若松みゆきとガールフレンド・鹿島みゆきの二人の「みゆき」の間で揺れ動く話。
昔アニメを見た覚えがあるけどほぼ初見に近かった。

良かったところ

真人は彼女の鹿島みゆきがいながら若松みゆきにも惹かれてるんだけど、建前上兄妹、血が繋がってないことをみゆきは知らないと思ってる、知ったらみゆきは自分が天涯孤独と分かりショックを受けてしまう、のコンボで気持ちを表に出さないようにしていて。 その分本当の想いが表情とか短いセリフから読み取れるんだよね。それがもう切ない。

よく言われることだけど、あだち先生のマンガは必要最低限のセリフだったりなんならセリフすらないコマで語る表現が素晴らしいのだけど『みゆき』の場合設定が生きて余計際立っていた。

あと妹属性ってやつですかね。
この時代にそんな言葉なかったと思うけど、血が繋がらないことを免罪符にしたとしても妹に恋心を抱くのは挑戦的な設定だったと思う。
私は女だしその属性自体は理解できないところもあるけど、こんな可愛い妹ならドキドキしちゃうよね。
女性目線だとちょっとみゆきあざとい!ってとこもあったけどね。

苦手だったところ

所々現代の価値観だとなんだそりゃ、なところもありました。

まず、若松みゆきを口説く男性2人がちょっと無理だ。
30代の男性教諭と鹿島みゆきの父ね。
フェミニストとかじゃないけど、子どもに接する大人の異性の態度じゃないよなーと思ってしまった。
若松みゆきはさらっとかわして大きな問題にはならないんだけど、今なら大問題になりそうな描写よね。
ちなみに竜一は許せる。ダブってても高校生だし。

最後真人は「みゆき」(調べればどちらのみゆきかすぐに分かります)と結婚するんだけど、まだ二人とも大学生で20歳前後だよ。
人生早く決め過ぎじゃない?真人にしろみゆきにしろこれから色々な人と出会うチャンスあるし、せめて社会人になってから結婚すればよくない?あとで後悔しない?
私なら沢田優一を選ぶけどなあ(どうでもいい)。
この二人の結婚は大人目線の思惑とか条件とかそういうのじゃないっていうのは理解してるんだけど、ちょっと生き急ぎすぎ!と思ってしまった。
当時は特に女性は早く結婚したほうがいい、っていう価値観だったんだろうし、それが全巻通して感じ取れて、晩婚の私ちょっと心折れかけた。

とはいえ今の価値観でグダグダ言っても仕方なし、二人の「みゆき」はキャラクターとして魅力的で最終回の読後感も良く(一人かわいそうな登場人物がいるけどまあ救いはある、のかな)とても楽しめました。

なお後半は『タッチ』と連載掛け持ちしていたらしく真人はどう見ても上杉達也なんだけど、それもご愛嬌。あだち充劇団だよ!

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